、従来の如く自己本意の商策を弄せず、社会の進歩、生活の向上発展に寄与するの精神をもって、合理的研究を怠らないならば、すべての難問題も容易に解決し得らるる事を確信致します。
学術的研究の必要
学術的研究を云々するのは、釈迦に説法の観がありますが、商売を致して居りますと一般に学術的研究が疎略にされ勝ちであります。
私が帝大前に店を持って、まず第一に悩まされたのは、店員の脚気でありました。脚気は商店病と申してよいくらい商家に多い病気であります。しかしこれはヴィタミンBの欠乏に原因するものであることは学術上立証されましたので、食事その他について注意を払いました結果、現二百名余りの店員中に一名の脚気患者なしという状態で、学術の恩恵は誠に偉大なものであることをありがたく感謝して居ります。
また数年前アメリカから輸入される乾杏が、多量の亜硫酸を含むという理由で、発売を禁止されたことがありますが、これが動機となって私も研究を致しました結果、食料品に亜硫酸を含むものの少なくないことを発見して驚いた次第であります。亜硫酸は物を晒す力のある薬品でありまして、赤砂糖でもこれで晒しますと雪を欺
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