とです。
浅野さんの懺悔
浅野民次郎のことは「黙移」の中に詳しく書きましたから、ここでは最も尊い懺悔の一節だけを記すことにします。
浅野さんは救世軍の兵士として、中村屋から毎晩行軍(街頭説教)に出かけました。当時救世軍はまだ甚だしい経済難のうちにあって、給与があまり僅少なためにたいていおかずを食べることが出来ず、塩など舐めて済ます有様でしたから、浅野さんは店で食事をするだけでも倖せだなどと言っていました。中村屋とてもその頃は充分な手当を支給出来なかったから、ずいぶん不自由な思いをさせたことでしょう。
ある晩私たちは店を閉じてから例の三畳の間で帳面調べをしていましたが、そこへ浅野さんが入って来て、何か用事ありげにもじもじしています。そのうちに頭を膝まで下げ、低くてききとれないような声でこういいました。『国へ手紙を出そうとすると切手を買うお金がなかったので、悪いとは思いながら店の売上げから十銭無断で使いました。まことに申し訳ありません、お許し下さい』そして畳に頭をこすりつけて詫び入るのでした。
これを聞いた私たちは叱るどころか、正直なその告白に非常に感激してしまって、『
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