とき》も乗ってはいられません。お客さま、わたくしがあなたでしたら、早速この部屋を引き払って、船医の部屋へ行って寝るとか、なんとかいたしますがね。さあ、あなたがおっしゃった通りにしめてあるかないか、よくごらんなすった上で、ちょっとでも動くかどうか手で動かしてみてください」
僕は窓の戸を動かしてみたが、なるほど固くしまっていた。
「いかがです」と、ロバートは勝ち誇ったように言葉をつづけた。「手前の一等給仕の折紙《おりかみ》に賭けて、きっと半時間経たないうちにこの戸がまたあいて、またしまることを保証しますよ。恐ろしいことには、ひとりでにしまるんですからね」
僕は大きい螺旋《ねじ》や鍵止めを調べてみた。
「よし、ロバート。もしもひと晩じゅうにこの戸があいたら、おれはおまえに一ポンドの金貨をやろう。もう大丈夫だ。あっちへ行ってもいい」
「一ポンドの金貨ですって……。それはどうも……。今からお礼を申し上げておきます。では、お寝《やす》みなさい。こころよい休息と楽しい夢をごらんなさるように、お客さま」
ロバートは、いかにもその部屋を去るのが嬉しそうなふうをして、足早に出て行った。むろん、彼は愚
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