るな妖女が、わたしを苦しめるため、魔法で呪って、みにくいけものの姿にかえてしまったのです。その呪《のろい》をとくには、いつか心の清いおとめが、わたしのみにくい姿かたちをわすれて、まごころからいたわってくれるまで、待たなくてはならなかったのです。それがあなただったのですよ。」
 さて、これからあとのお話は、くわしくするまでもないでしょう。怪獣の王子は、ある日ふしぎに姿のみえなくなった、わかい君主《くんしゅ》のゆくえを、たずねまわっていた民たちの所へ、またかえって行って、よろこびむかえられました。それもひとりでなく、この世にふたりとないうつくしい顔かたち、そして、それよりももっとうつくしい、やさしい心をもったラ・ベル姫をつれているので、二重のよろこびに、国じゅうがわき立ったのでございます。



底本:「世界おとぎ文庫(イギリス・フランス童話篇)妖女のおくりもの」小峰書店
   1950(昭和25)年5月1日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
入力:大久保ゆう
校正:秋鹿
2006年1月21日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全3ページ中3ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ド・ヴィルヌーヴ ガブリエル=シュザンヌ・バルボ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング