。顔かたちの美しいばかりでなく、心のすなおで善《よ》いこのむすめとはうらはらで、ふたりの姉たちは、あいにく、いじわるでねじけていて、妹の美しい美しいとほめられるのがにくらしくてなりませんでした。それに、この姉たちは、いばりやで見《み》え坊《ぼう》で、世界一大金持のようにおもい上がって、ほかの商人たちのなかまを見下《みくだ》しながら、侯爵《こうしゃく》とか伯爵《はくしゃく》とか貴族《きぞく》のやしきによばれて、ぶとう会やお茶の会のなかまになることを、この上ないめいよにおもっていました。そして、妹のラ・ベルが、いつもうちにひっこんでいて、つつましくおとうさまに仕《つか》えているのを、「あの子はばかだから。」といってあざけりました。なにしろ、うちがお金持なので、むすめさんをおよめにといってくるものは、ことわりきれないほどありましたが、上の姉たちは、自分より上の身分のもののほか、まるで相手にしませんでしたし、末の妹は、まだわたしはこどもで、とうぶん、なくなった母の代りに、父の世話《せわ》をしてあげたいとおもいますからといってことわりました。
ところで、人間の身の上はいつどうかわるかわかりませ
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