はなれわざをするのを知っていましたから、なにかつごうして、さしあたりのなんぎを、すくってくれるくふうがあるのかもしれない、とおもって、とにかく、猫のいうままに、袋と長ぐつをこしらえてやりました。

         二

 猫吉|親方《おやかた》は、さっそく、その長ぐつをはいて、袋を首にかけました。そして、ふたつの前足で、袋のひもをおさえて、なかなか気取ったかっこうで、兎《うさぎ》をたくさん、はなし飼《が》いにしてあるところへ行きました。そこで、猫は、袋の中にふすま[#「ふすま」に傍点]とちしゃ[#「ちしゃ」に傍点]を入れて、遠くのほうへほうりだしておきました。そこから、袋のひもを長くのばして、そのはしをつかんだままじぶんはこちらに長ながとねころんで、死んだふりをしていました。こうして、まだ世の中のうそを知らない若い兎たちが、なんの気なしに、袋の中のものをたべに、もぐりこんでくるのを待っていました。あんのじょう、もうさっそく、むこう見ずの若い、ばか兎が一ぴき、その袋の中へとびこみました。猫吉|親方《おやかた》は、ここぞと、すかさずひもをしめて、その兎を、なさけようしゃもなくころしてしま
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