そとのつり橋を、王様の馬車のわたってくる音がきこえました。猫吉は、その音を聞きつけると、さっそく、お城の門のところへ出て行って、王様にこう申しました。
「さあ、どうぞ、王様には、カラバ侯爵《こうしゃく》のお城におはいりくださいまするよう。」
 王様は、さっきからこのお城に気がついていました。そして、だれのお城だか知らないが、中はさぞかしりっぱだろうから、はいってみたいものだと、おおもいになっていたところでした。ですから、猫吉がそういうのを聞くと、ますますおどろいておしまいになりました。
「なに、これも侯爵《こうしゃく》のお城。いやどうも、お庭といい、建物《たてもの》といい、こんなりっぱなお城は見たことがないわい。では、拝見《はいけん》しよう。どうぞ案内《あんない》をたのみますぞ。」
 王様が馬車からおりると、猫吉は、そのあとからついて行きました。カラバ侯爵《こうしゃく》はお姫さまに手をかして、そのあとにつづきました。やがて大広間にはいると、おかざりしたテーブルの上に、りっぱなごちそうがならんでいました。じつは、このごちそうは、きょう、たずねて来るはずの友だちのために、人くい鬼がしたくし
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