その面目を保ち得たりと云うべし。
[#ここで字下げ終わり]
他の新聞や書簡等の間から一通の手紙が出て来た。ルパンは一目この封書を見てハッと思った。それには「ボーモン(ミシェル)様」としてある。
『あッ! ジルベールからの手紙だ……』
中の書面は確かに十数字。
『首領《かしら》、助けて下さい! 恐ろしい……恐ろしい……』
その夜ルパンは悪夢に悩まされてマンジリともしなかった。そして物凄い、怖ろしい幻に襲われつつ彼は終夜悶えに悶えた。
[#8字下げ][#中見出し]※[#始め二重括弧、1−2−54]四※[#終わり二重括弧、1−2−55]敵の首領[#中見出し終わり]
あわれ、ルパン! 彼は現在の境地に捉わるることなく、他の一点を掴んで事件の展開を計らざるを得ざるに至った。しかしいかなる点に進むか――水晶の栓の追求を放棄しなければならないだろうか?
彼は去就に迷った。マリテレーズ別荘の殺人事件以来行方を晦《くらま》しているグロニアールとルバリユとの住んでいたアンジアンの別荘を想い出した。しかし、今彼等を問題としなくとも、ルパンはドーブレクに関係し、また関係せざるを得なかった。
「待
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