は明日《みょうにち》、午後三時……そして場所は……』
 と云いも終らぬに後方《うしろ》の扉《ドア》がパッと開いて、ドーブレクがヌッと現れた。
『チェッ! 畜生ッ』とルパンは今一言の所を破られて憤然と怒った。ドーブレクは嘲笑を投げて、
『フン、これだこれだ……どうも少し怪しいと思ったっけ……オイ、電話の手品なんざあ、少々時代後れだよ……気の毒ながら途中で戻って来たんだ』とルパンを傍《そば》に突き除けつつ、女の傍《かたわら》に腰をかけて、『オイ、貴様は一体何者だ?……おおかた警視庁の犬だろう?うるさく嗅ぎ廻わりやあがる』
 彼は眉毛一つ動かさぬルパンをジッと見詰めていたが、さすがにこの男がかつて自分がポロニアスと綽名《あだな》をつけたあの食堂に隠れていた男と同一人だとは気が附かなかった。ルパンもなかなかに油断せず的の態度を見詰めながら今後の方略を考えていた。ここまで漕ぎ付けた計画を放棄する事は断じて出来ない。こうした一方女は片隅に身動きもせず堅くなって二人の様子を見詰めていた。
『外へ出よう、その方が話しが早い』とルパンが云った。
『ここでたくさんだ、今は幕間だし、人に邪魔されなくていい。
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