た。硝子の栓はもともとドーブレクの所有であった。すれば彼がその値打を知らぬはずが無い。ところでまたジルベールがどうしてドーブレクの日常生活を知悉《ちしつ》していたか? いかなる方法を用いて捜索したか? あの晩、ドーブレクが出かけた場所をどうして知ったか? 解決すべき興味ある問題がこの方面にたくさんある。
メリー・テレーズ別荘盗難以来、ドーブレクは巴里《パリー》の本邸に帰った。それはラマルチン公園の左手《ゆんで》にあって、ビクトル・ユウゴオ街に面した家である。
ルパンは早速隠居風に変装して、杖をつきつきブラブラと散歩する風を装い、ユウゴオ街に面した公園のベンチに腰をかけて、それとなく邸《やしき》の様子を窺《うかが》った。ところがまず最初の日に面白い事実を発見した。確かにその筋の人間と覚《おぼ》しき労働者風の二人の男がドーブレクの邸を見張っていた。ドーブレクが外出するとその二人の男は彼に尾行し、彼が帰るとその後《うしろ》から影の様について来た。夕方、灯火《ともしび》の点く頃になると二人の男が帰って行った。今度はルパンの方で二人の男に尾行した。彼等は警視庁の刑事であった。
しかし第四日
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