人のゆきかふ小路正しく連らなりて、※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]犬の此處彼處になく聲もいとのどかなり、
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其中往來種作。男女衣着悉如外人。黄髮垂髫。並怡(6)然自樂。
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其中を往來しつゝたがやす男女の身にまとふ衣を見るに、世のものと異なりて、外國人《とつくにびと》かと怪しまる計り也。又黄色の髮なす老人、もとどりたれたる小兒まで、打まじり、おのがじしたのしむさま、またなく心やすらげに見ゆ、
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見漁人乃大驚。問所從來。具答之。便(7)要還家。設酒殺※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]作食。村中聞有此人。咸來問訊。
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漁人を見つゝいたく打驚き、いづかたより來り給ひしと問ふに、くはしく答へたりしかば、いざ我家《わがや》へとて、いなむをうながし、つれ還へり、酒をまうけ、にはとりを殺し、ねんごろに、ふるまひなすうちに、村のものども、まれびとありと聞きつ、みなこの家へ尋ね來りぬ、
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自(8)云。先世避秦時亂。率妻子邑人。來此絶境。不復出焉。遂與外人間隔。問今是何世。乃
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