択するのに、非常に悧巧である。しかし彼等は、俄にスローガンを改め、彼等こそ女※[#「女+咼」、第3水準1−15−89]の直系であるといい、同時に大旗の文字を「女※[#「女+咼」、第3水準1−15−89]氏の腸」と書き換えた。
 あの海岸に落ちた年老いた道士も、幾千代《いくちよ》永らえたが、死際《しにぎわ》になって、仙山が大きい鼈《すっぽん》の背に載せられたという要件を、弟子に伝え、弟子はまたその弟子に伝えたが、後世になって一人の方士が好いことをしようとして、秦の始皇に上奏し、秦の始皇は方士に命じてこれを探しめた。
 方士が仙山を探し当てないで、秦の始皇は遂に死んだ、漢の武帝もまたこれを探さしたが、これまた影さえも見つからない。
 たぶん、大きな鼈どもは、女※[#「女+咼」、第3水準1−15−89]の話が判らないで、そのとき何かの機《はずみ》でちょっと肯き、よい加減にしばらくの間背負っていった後で、皆睡くなって散り散りに別れたので、仙山もそれにつれて沈んでしまったのであろう。それゆえ、神仙山の半分も見たものはなく、精々幾つかの野蛮の島を発見したにすぎないのである。
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