端午節
魯迅
井上紅梅訳
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)方玄綽《ほうげんしゃく》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)大|見栄《みえ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「にんべん+尚」、第3水準1−14−30]
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方玄綽《ほうげんしゃく》は近頃「大差ない」という言葉を愛用しほとんど口癖のようになった。それは口先ばかりでなく彼の頭の中にしかと根城を据えているのだ。彼は初め「いずれも同じ」という言葉をつかっていたが、後でこれはぴったり来ないと感じたらしく、そこで「大差ない」という言葉に改め、ずっとつかい続けて今日《こんにち》に及んでいる。
彼はこの平凡な警句を発見してから少からざる新しき感慨を引起したが、同時にまた幾多の新しき慰安を得た。たとえば目上の者が目下の者を抑えつけているのを見ると、以前は癪に障ってたまらなかったが、今はすっかり気を更《か》えて、いずれこの少年が子供を持つと、大概こんな大|見栄《みえ》を切るのだ
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