年ほど渡らないが、一方には官俸を取って支持しているから、彼は一言も言い出さないのだ。教員が聯合《れんごう》して月給の支払を要求した時、彼は内心大人げないことだ、騒々しいことだと思ったが、官僚が度を越えて教員を疎外したという話を聴き及んでいささか感ずるところあり、その後一転して自分もちょうど金に困り、そうしてほかの官僚は教員を兼任していないという事実を確めたので初めてなるほどと感づいたのである。
彼は金に差支えたが教員の団体には加入しなかった。しかし衆《みな》が罷業《ひぎょう》すれば講堂には出ない。政府は「授業をすればお金をやる」と声明したが、この言葉は彼にとっては非常に恨めしかった。まるで果実を見せびらかして猿を使うようなものである。それにある大教育家の説得がはなはだ気に食わなかった。
「片手に書物を抱えて片手に銭を要求するのははなはだ高尚でない」
と、彼はこの時、初めて彼の夫人に対して不平を洩した。
「おい、たった二皿だけか? どういうわけなんだえ、これは」
高尚でないという説を聞いたその日の晩、彼はお惣菜を眺めてそう言った。
新教育を受けたことのない奥さんには学名もなければ
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