しゃこんな風じゃとてもやりきれませんよ。これから先《さ》きのことを考えて、何か他の事でも始めたら……」
彼女は遂にべつの道を求めた。
「何か他の方法といっても、乃公《おれ》は『筆の上では筆耕生《ひっこうせい》にもなれないし、腕力では消防夫にもなれない』、別にどうしようもない」
「あなたは上海《シャンハイ》の本屋に文章を書いてやりませんか」
「上海の本屋? あいつもいよいよ原稿を買う段になると、一つ一つ字を勘定するからね。空間《あきま》は勘定の中に入れない。お前、見たろう。乃公《おれ》があの白話詩《はくわし》を作った時、空間《あきま》がどのくらいあったか。おそらく一冊書いて三百文くらいのものだ。印税は半年経っても音沙汰がない。『遠くの水では近処の火事が救えない』、とても面倒《めんどう》だよ」
「そんならここの新聞社におやりになってみたら……」
「なに、新聞社にやると? ここの一番大きな新聞社へ、乃公《おれ》はこの間ある学生を世話して、向うの編輯の顔で原稿を買ってもらったが、一千字書いても幾らにもならん、朝から晩まで書き詰めに書いても、お前たちを養うことが出来ない。まして乃公《おれ》の肚
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