の創作が邪魔されるのかと思ってすこぶる腹が立つ。
「薪を使い切ってしまいましたから、今日ちっとばかり買ったんですが。前には十斤で両吊四《リャンテウスー》だったのに、今日は両吊六《リャンテウリョウ》だというのです。私は両吊五《リャンテウウー》でもやればいいと思いますがいいでしょうか?」
「よし、よし。両吊五《リャンテウウー》でも」
「とても秤《はかり》を誤魔化《ごまか》すんですよ。薪屋はどうしても二十四斤半というのだけれど、私は二十三斤半で勘定してやればいいと思います。どうでしょうかね?」
「よし、よし。二十三斤半払ってやれ」
「それなら、五五の二十五、三五の十五……」
「ウムウム――。五五の二十五、三五の十五……」
彼もまたそれから先きが言えなくなってちょっとまごついたが、たちまち躍起となって筆を採り、一行ばかり書きかけた「幸福の家庭」の原稿用紙の上に数字を書き始め、しばらく勘定してからやっと頭を挙げて云った。
「五吊八《ウーテウパ》だ!」
彼はテーブルの引き出しから有りったけの銅元を攫み出し、それは二三十よりは少くないものを、拡げている妻の掌《て》の上に置き、妻が出て行《ゆ》くの
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