んだ赤坊《あかんぼう》のおしめになって、その切屑は呉媽の鞋底《くつぞこ》に使われた。
第五章 生計問題
阿Qはお礼を済ましてもとのお廟《みや》に帰って来ると、太陽は下りてしまい、だんだん世の中が変になって来た。彼は一々想い廻した結果ついに悟るところがあった。その原因はつまり自分の裸にあるので、彼は破れ袷がまだ一枚残っていることを想い出し、それを引掛けて横になって眼を開けてみると太陽はまだ西の墻《まがき》を照しているのだ。彼は起き上りながら「お袋のようなものだ」と言ってみた。
彼はそれからまたいつものように街に出て遊んだ。裸者の身を切るようなつらさはないが、だんだん世の中が変に感じて来た。何か知らんが未荘の女はその日から彼を気味悪がった。彼等は阿Qを見ると皆門の中へ逃げ込んだ。極端なことには五十に近い鄒七嫂まで人のあとに跟《つ》いて潜り込み、その上十一になる女の児《こ》を喚び入れた。阿Qは不思議でたまらない。「こいつ等《ら》はどれもこれもお嬢さんのようなしなしていやがる。なんだ、売淫《ばいた》め」
阿Qはこらえ切れなくなってお馴染《なじみ》の家《うち》に行って探
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