ことがあるでしょう? もしなければそれはあなた一人だけよ。私はよくは知りませんけど、何でも人形みたいなものが家《うち》の中をぜんまい仕掛で働くのだそうですの。そうそうこんな事が広告に書いてありますの『ボタンをおすべし、――決して酒を飲まない給仕人』『ハンドルをまわすべし――決していちゃ[#「いちゃ」に傍点]つかない十人の女中』だなんていうんですの。きっとあなたも広告を御らんになったにちがいありませんわ。とにかくその機械がどんなものであっても、以前あのラドベリーの腕白小僧だったスミスの弗《ドル》箱になっているんですの、あの侏儒が今じゃあ、まあとにかく、自分でやって行けるようになったのは、私としても嬉しくない事はない……とはいうものの、今にもあの男が現われて、サアわしはこの通りに少しは世の中に知られる男になったからと……また実際その通りなんですけど……言込んで来はしまいかと、私それが怖くて仕方がないんですわ」
「それから、も一人のほうは?」アンガスは落付払ってまたくりかえした。
ローラ・ホープは突然立上った。「まああなた」と彼女はいった。「お巫女さんね。そうよあなたのおっしゃる通りよ。も
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