の間行ったり来たりした。彼は教会の向うにある小さい旅館にそのぎせい者を運ぶのを手伝った。そして医者を呼んだ。医者は生命には別条がないが、まさしくおどおどしながらその怪俄について話した。そしてまた旅館の客間に集《あつま》っていた旅行者の一団にそれを報告したりした。しかし彼が行ったどこにでも神秘の雲が彼に横たわっていた。そして彼が考えるほどますます暗くより深くなるように思われた。なぜなら中心の不可思議はますます神秘になって来た。現に彼の心の中で明白となり始めた、その領地の神秘までも、その一行の個々の人物を考えてみてもその突発した事件を説明するのはますます困難になった。レオナルド・スミスはダイアナ夫人が来たために単に来たのである。そしてダイアナ夫人は彼女が希望した故に来たのであった。夫人のロマン主義は迷信的な方面を持っていた。そして彼女は彼女の冒険のおそろしい結果に充分弱っていた。ポール・ターラントは、たぶんある妻かまたは夫の、悪巫山戯《わるふざけ》を監視するような好ましからぬ外国人の態度を多く持っていた。そして実際は、髯のある外国の講師のあとをつけている、私立探偵であったのだ。しかしもし彼
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