なって現われたその場所もまた、ルーアンから、ドイエップから、ルアーブルから、この三つの都会からパリへ行く道なのである。
ルーアン……ドイエップ……ルアーブル……は三角形をなしている。すべてはそこにある。
一つは海、一つはセーヌ河、一つはルーアンからドイエップへ通じている一つの大きな谷。
その時また、少年の頭に一つの光が流れた。それはこの三角形の場所こそ、巨人ルパンがいつも活動する場所だということである。この十年ばかりの間、世間の人たちを驚かせながら活動した場所はいつもここであった。
しかも今度の事件は?、ジェーブル伯爵のあの僧院のある場所は、やはりルアーブルからドイエップへ通う道にある。きっとルパンは十年ばかり前にエイギュイユの秘密を探り出して、その宝物《ほうもつ》の隠してある場所を知ったに違いない。ルパンの力はそれだからこそ大きかったのに違いなかった。
少年は意気揚々とパリを出発した。少年は三角形の中のすべてを片っぱしから調べ始めた。
少年はある朝村の小さな飯屋で、馬方のような男がじろじろと自分を見ているのに気がついた。ボートルレは変な奴だと思ってその飯屋を出ようとすると
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