ですからね。『熊《くま》の胆《い》』もありますよ。安心してください。本船は小さいが、それこそ、大船に乗ったつもりでね」
と、しんせつにいってくれた。
「日本もえらくなったものだ。あたりまえの船がくるところじゃあない、こんな、太平洋のまんなかの無人島へ、日本船が二|隻《せき》も集まったのだ。そして、一隻は難破、一隻はその助け船。これはまたふしぎなまわりあわせになったものだ」
と、つくづく感心している者もあった。
「ご飯を、ごちそうしよう」
と、上甲板の日よけ天幕《テント》の下に、とくべつにテーブルと椅子《いす》とをならべて、五人の席ができた。五人は長い間見なかった、白い、かたいご飯を、ごちそうになった。しかし、私はどうしても、それがのどをとおらなかった。
「ああよかった。十六人は、助かった――」
ただそればかりで、胸がいっぱいだ。お茶をのんでも、味がわからない。まして、ならべてある心づくしのお皿に、何があるのか……
水夫長も水夫も、おなじらしい。かれらは、ご飯を一口ほおばっては、いつまでもかんで、なみだをぽろぽろこぼしている。そして、半分腰をうかして、私の顔をときどき見るのだ
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