員ぶじだ」
それから私は、船長室にあんないされて、ひととおり遭難の話をしてから、すくってくれるようにたのんだ。
「われわれ十六人を、今すぐすくってくれれば、これにこしたことはない。しかし、君の船はまだ漁業がおわらないのに、急に十六人がやっかいになっては、食糧や飲料水にもこまるだろうし、漁業のさまたげにもなって、めいわくだろう。そこで、どうだろう、一人だけ日本へつれて帰って、報効義会《ほうこうぎかい》へ遭難のようすを報告させてくれないか。もし、それもできなければ、手紙一本だけ日本へ持って帰って、とどけてくれないか。今のところ病人が二人あるが、まだ一年二年は、命にさしさわりはあるまい。それに、十六人は今までの研究で、これからさき何年でも島でくらして行ける自信がある。米もまだ、節約したのこりが、三斗五升(六十三リットル)はあるから」
両うでを組んで、目をつぶってきいていた長谷川船長は、
「君も知っているように、的矢丸は、やっと目的の漁場についたばかりだ。これから、ほんとうの仕事をはじめるところだ。今すぐ君たち十六人を、この船にひきとって、ここから、日本へ引き返すことはできない。それで、漁
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