、ともかくも、碇泊《ていはく》しよう」
 それで錨を入れたのは、われらの本部島から、十二カイリ(二十二キロ)の沖であった。
「ボートらしいものが、やってきます」
「日本の伝馬船《てんません》です」
「乗っているのは、まっ黒い、はだかの土人です」
 望遠鏡で見はっていた当直の者から、このような、やつぎばやの報告を受けて、的矢丸の長谷川船長は、遭難した土人が漕ぎつけてくるのだ、と思いこんでいた。
 そこへ、縄ばしごをつたって、甲板によじのぼってきたのは報告どおりの、まっ黒な土人が五人。酋長《しゅうちょう》らしいのが、ただ一人、気のきいた服装をしている。その男が甲板に立って、きっと、こちらを見つめていたが、とつぜん、大きな声で、
「あっ。長谷川君」
 とよぶと、飛びつきそうなかっこうで、両手をひろげて、せまってくる。
 長谷川船長は、びっくりした。
「ええっ」
 目をすえて、土人を見きわめようとするまに、両うでを、力いっぱい、土人につかまれてしまった。でも、友人はありがたい。すぐにわかった。
「やっ。中川君。どうした――」
「龍睡丸《りゅうすいまる》は、やられた……」
「みんなぶじか」
「全
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