うすは、こんどはだれの番だと、きめてあるように見えるのだ。
 水夫長は、すっかり感心して、その強い研究心から、
「船長。どの鳥が、命令するのでしょう」
 と、きくのだ。これには、私もこまった。
「さあ、だれが命令するのかなあ……」
 こう答えるより、しかたがなかった。
「鳥の法律かしら」
 この水夫長のひとりごとには、みんな大笑いをした。しかし、よく考えてみると、どうして、笑うどころか、まだ人間にはわからない、むずかしい問題なのだ。
 さて、この日の朝、昼飯のため、魚をつったところ、意外の大漁であった、夕食のために、残った魚を生ぼしにしておこうと、四、五十ぴきの魚を、流木の丸太の上に、ほしておいた。
 私たちが、本部島に植える草ブドウの根をほって、ていねいに、草であんだむしろでつつんでいる間に、ただ一羽舞っていた、見はり番のアホウドリが、なまぼしの魚を見つけて、何かあいずをすると、海にうかんでいた一群のアホウドリは、いっせいに舞いあがってきて、なまぼしの魚を、おおかたさらって行った。
「この、アホウめ。おきゅうをすえてやれ」
 と、腹を立てた漁夫が、なまぼしの残ったのにつり針をつけて、
前へ 次へ
全212ページ中188ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
須川 邦彦 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング