のばして、彼を支配し彼を温めてゐるのであつた。
『おれはやくざ者だ、おれは惡者だ、おれは能なしだ……』
彼は飽くまでも自分を陷れ、また謙る事によつて、しんめりと潤つて行く心の中を覗き込むやうに、猫背の背を丸くして、胸元に首をうづめながらさめざめと泣き出した……
底本:「水野仙子集 叢書『青鞜の女たち』第10巻」不二出版
1986(昭和61)年4月25日復刻版第1刷発行
初出:「文章世界」
1919(大正8)年7月
入力:林 幸雄
校正:小林 徹
2003年1月15日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全28ページ中28ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
水野 仙子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング