けた。
はっと平伏し乍ら、並居る侍臣達は、そのとき新らしい発見をした。殿の眼鏡は時代の底の流れと、海の外を視《み》る御用にのみ役立つと思っていたのに、人の情の涙をもおしかくす御役に立つことを初めて知ったのである。
その時何侯か登城した大名があったとみえて、城内遥《はる》かの彼方からドドンと高く登城しらせのお城太鼓が鳴り伝わった。
底本:「小笠原壱岐守」大衆文学館文庫、講談社
1997(平成9)年2月20日第1刷発行
底本の親本:「佐々木味津三全集10」平凡社
1934(昭和9)年発行
初出:「改題」
1930(昭和5)年発行
入力:大野晋
校正:noriko saito
2004年11月1日作成
青空文庫作成ファイル:
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