なたと思うて、きっとすこやかに育てまする……。では、さようなら……、さようなら……」
「天晴れぞや。――俊二郎とやら、陸奥《みちのく》の秋風はまたひとしお身にしみる喃」
そこへのっしのっしと来合わしたのは英膳です。
「おう。こちらも御無事で!」
「そちもか。英膳、悲しい別れをそちも泣いてつかわせ」
ひと目でことの仔細を知ったか、早矢の達人の目にも、キラリ露の雫《しずく》が光りました。――吹くは風、吹くは五十四郡の秋風である
底本:「旗本退屈男」春陽文庫、春陽堂書店
1982(昭和57)年7月20日新装第1刷発行
※本作品中には、身体的・精神的資質、職業、地域、階層、民族などに関する不適切な表現が見られます。しかし、作品の時代背景と価値、加えて、作者の抱えた限界を読者自身が認識することの意義を考慮し、底本のままとしました。(青空文庫)
入力:tatsuki
校正:大野晋
2001年5月21日公開
2001年6月26日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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