旗本退屈男 第三話
後の旗本退屈男
佐々木味津三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)お犬公方《いぬくぼう》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)妖僧|護持院隆光《ごうじいんりゅうこう》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)剽悍《ひょうかん》[#ルビの「ひょうかん」は底本では「しょうかん」と誤植]
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一
――その第三話です。
江戸年代記に依りますと、丁度この第三話が起きた月――即ち元禄七年の四月に至って、お犬公方《いぬくぼう》と綽名《あだな》をつけられている時の将軍|綱吉《つなよし》の逆上は愈々その極点に達し、妖僧|護持院隆光《ごうじいんりゅうこう》の言語道断な献言によって発令された、ご存じのあの軽蔑すべき生類憐《しょうるいあわれ》みの令が、ついに嗤《わら》うべき結果を当然のごとく招致しまして、みつかり次第に拾って飼っておいた野良犬が、とうとう二万頭の多数に及び、到底最早江戸城内の犬小屋だけでは、おびただしいそれらのお犬様を取締ることが出来なくなりましたので、西郊中野と大久保に、そ
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