浅草のお師匠さまにおわび申しとうござります……」
「いじらしいことだな。法は曲げられぬ。一度はお牢屋《ろうや》に入れますがのう。おじさんがすぐ永徳寺へ知らせてあげますから、まもなくお師匠が救いとって、慈悲のおそでの下へかばってくれましょう。それまでのしんぼうじゃ、おとなしゅう牢屋へはいりなさいよ」
「あい、はいります……ふたりして、いっしょにはいります……」
 進んで入牢《じゅろう》を急ぐ子どもたちと、喜んで牢を放たれるきょうだいたちが、右門のそでの陰でさびしく笑顔《えがお》を送り合いました。



底本:「右門捕物帖(四)」春陽文庫、春陽堂書店
   1982(昭和57)年9月15日新装第1刷発行
入力:tatsuki
校正:kazuishi
2000年3月13日公開
2005年9月24日修正
青空文庫作成ファイル:
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