は替え肩六人つきの早駕籠二丁です。
「できましたよ! ひと足おくれりゃ、野郎め、ひと足お山へ近くなりゃがるんだ。急いだッ、急いだッ」
「あわてるな」
 制しておいてふところ紙を取り出すと、どこまでも行き届いているのです。
「町役人衆に一筆す。
 八丁堀右門検死済み。死体はねんごろに葬ってとらすべし。
 ただちにお城内、お濠方畑野|蔵人《くらんど》、三宅平七御両名へ、右門、二、三日中によき生きみやげ持参つかまつると伝言すべし」
 さらさらと書きしたためて、岩路の背にのせておくと、ひらりと駕籠へ。
「早だッ 早だッ。じゃまだよ! のいた! のいた!」
 かけ声もろとも、ひた、ひた、ひたとまっしぐらに品川めざして駆けだしました。

     4

 その品川を駆けぬけたのが朝の五ツ。
 次は川崎、これが二里半。ここで宿継《しゅくつ》ぎの駕籠を替えて、次の宿、神奈川へ同じく二里半、お昼少しまえでした。
 一里九町走って程《ほど》ガ谷《や》の宿。二里九町走って戸塚《とつか》。さらに二里飛ばして藤沢《ふじさわ》。よつや、平塚《ひらつか》と走りつけてこの間が二里半。大磯《おおいそ》、小田原と宿継ぎに
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