宅平七が伴ってきたのは、大奥|名代《なだい》のおしゃべり坊主|可賀《べくが》でした。
「これはこれは、わざわざてまえをお名ざしで御用とは、近ごろ冥加《みょうが》のいたりでござりやす。八丁堀ご名物むっつり右門とおっしゃりますそうなが、御用の筋はなんでおじゃります。てまえはお鳥係り。烏は唐《から》の金鶏鳥、四国土佐のおながどり、あるはまためじろ、ほおじろ、うぐいすならば鳴き音が千両、つるに、ひばりに、恋慕鳥、別して大奥のお女中がたは、この恋慕鳥が大の好物でござりやす。御用はその鳥に何か?」
「アハハ。なるほど、ききしにまさるお口達者でござりまするな。そのぶんならば、ずんと頼みがいもありましょう。ちと異なお願いでござりまするが、てまえは今おおせのその右門、けさほど牛《うし》ガ淵《ふち》でゆゆしき変事がござりましたのでな。ぜひとも今明日中に、大奥仕えのお女中残らずをお詮議《せんぎ》いたさねばなりませぬ。それゆえ、じつは、そなたさまのお口達者なところを見込んで、今より大奥女中残らずへ――」
「吹聴《ふいちょう》せいとのお頼みでござりますか」
「さようさよう、なにしろたくさんなご人数、それにとつぜ
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