ざる勢いです。どなり、しかり、当たり散らしながら死骸を見調べると、小娘は年のころ十三、四、手甲《てっこう》、脚絆《きゃはん》、仕着せはんてんにお定まりの身ごしらえをして、手口は一目|瞭然《りょうぜん》、絞殺にまちがいなく、かぶっている菅笠《すげがさ》のひもがいまだになおきりきりと堅く首を巻いたままでした。かぶり直そうとしたところをねらって、ひと絞めにやったものか、それとも押えつけておいて、笠《かさ》のひもをとっさの絞め道具にしたものか、むごたらしくも鼻孔から血の流れ出ているところを見ると、恐ろしい腕力に訴えて強引に絞めつけたことは明らかでした。いや、そればかりではない。その小娘の右手にはいぶかしいひと品がある。着物のそでです。しかも、女物の、同じような仕着せはんてんの片そでなのです。絞められるとき必死に抵抗してそでをつかんだのが、そのまま引きちぎれたとみえて、今なお引いても取れないほどにしっかりと握りしめているのでした。
「ホシは仲間だ。絞めたやつのそでにちがいないぞ。おれだって眼《がん》のつくことがあるんだ。まごまごとしていねえで、もっとよく調べろ」
 まったく敬四郎とても目のきくと
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