のです。
「騒々しいね。せっかく楽しみのところへ、どなたに断わってはいりましたえ。少しばかり男ぶりがいいったって、目のくらむあっしじゃござんせんよ」
「ウフフフフ。やすでの啖呵《たんか》をおきりだな」
静かにいって微笑しながらずいとはいると、ずばり、あの生きのいい名人の名啖呵が見舞いました。
「おたげえ色恋がしたくて、こんなところをまごまごしているんじゃねえんだ。見そこなっちゃいけねえぜ。本所の一つ目にゃ目が一つしかねえかもしれねえが、むっつりの右門にゃできのいいやつが二つそろってるんだ。油っけのぬけたやつが、女衒《ぜげん》みてえなまねしやがって、何するんでえ。来年あたりゃ西国順礼にでも出たくなる年ごろじゃねえかよ。はええところ恐れ入りな」
「おいいですね。油けがぬけていようといなかろうと、大きなお世話ですよ。恐れ入ろとはなんでござんす。何を恐れ入るんでござんすかえ」
「へへえ。まだしらをきるな。むっつり右門の責め手も風しだいだ。凪《なぎ》とくりゃ凪のように、荒れもようとくりゃ荒れもようのように、三十六反ひと帆に張れる知恵船があるんだ。四の五のいや草香流も飛んでいくぜ」
「いえ、わた
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