っかけていった番頭がいうにゃ、しかと乗って出た駕籠にちげえねえというんでね、按摩の野郎を締め上げようとするてえと、こいつが偉い啖呵《たんか》をきりゃがったんですよ。ご禁裏さまから位をいただいた鈴原|※[#「てへん+僉」、第3水準1−84−94]校《けんぎょう》じゃ。不浄役人ふぜいに調べをうける覚えはない、下がれッとぬかしやがったんでね。くやしかったが、位のてまえ、そのまま引き揚げたんですよ」
「なかなかぬかすな。頭は坊主か。それとも、何かかむっていたかい」
「※[#「てへん+僉」、第3水準1−84−94]校ずきんって申しますか、ねずみちりめんの、袋をさかさまにしたようなやつを、すっぽりかむっていましたよ」
「かわえそうに、みんごとお兄いさまたち、やられたな」
「じゃ、やっぱり化けていやがったんでしょうかね」
「あたりめえだ。ずきんの下でご家人まげが笑っていたことだろうよ。たぶん、針の道具箱もあったろうがな」
「ええ、ごぜえましたよ、ごぜえましたよ。なんだか知らねえが、特別でけえやつが、ひざのところに寄せつけてありましたぜ」
「しようのねえやつらだな。その道具箱の中に、千両はいっているん
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