右門捕物帖
京人形大尽
佐々木味津三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)捕物《とりもの》陣を
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)善光寺|辰《たつ》なる
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)なにッ※[#疑問符感嘆符、1−8−77]
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――前章の化け右門事件で、名人右門の幕下に、新しく善光寺|辰《たつ》なる配下が一枚わき役として加わり、名人、伝六、善光寺辰と、およそ古今に類のない変人ぞろいの捕物《とりもの》陣を敷きまして、いと痛快至極な捕物さばきに及びましたことはすでにご紹介したとおりですが、いよいよそれなる四尺八寸の世にもかわいらしいお公卿《くげ》さまが幕下となって第二回めの捕物、名人にとっては、ちょうどの十五番てがらです。事の勃発《ぼっぱつ》いたしましたのはあれから半月と間のない同じ月の二十六日――しかも、おおかたもう四ツを回った深夜に近い刻限のことでした。古いざれ句にも『ひとり寝が何うれしかろ春の宵《よい》』と
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