の秀抜かぎりない両のまなこは烱々《けいけい》として寸時の休みもなく、へやのうちのあちらこちらへと注がれました。
と――注いでいったその足もとの畳の上に、はからずも発見されたものは、白い粉の浮いた足跡――あるかないかくらいにうっすらと、何かの白い粉が浮いた足跡です。それも、よくよく見ると、いくつか入り乱れながらしるされている粉のその足跡に、紛れもなく大小二つがあるので、一つは八文七分くらい、一つは九文三分くらい、まことに右門ならでは発見のできないくらいにかすかなかすかな大小の足跡でしたが、かくあきらかに八文七分くらいと九文三分くらいの大小二いろがあるところから判断すると、かたかたずつ大きさのちんばな足を所有している珍人間でもがあらば格別、そうでないかぎりは、足の裏に白い粉のついているふたりの人間がまさしくこのへやに闖入《ちんにゅう》したことを物語っていましたものでしたから、なんじょう名人の目のさえないでいらるべき――ちょうどそこへ、へやの入り口から、のっそりと六十ぐらいのよぼよぼなおやじが顔をのぞかせましたので、右門の鋭い質問が矢のように飛んでいきました。
「そちらはこの座で何をいたし
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