右門らしい揶揄《やゆ》をひとこと、なおはにかみつづけている若夫婦にいってやりました。
「もうそのほうたちも、今宵《こよい》から天下晴れて、女は女、男は男の勤めができるから、お湯なども人にかくれてはいるには及ばぬぞ」
ふたりはむろんまっかになって、両ほおはいっぱいのもみじでありました。ことに、男となっている陽吉はひとしおの赤らみ方で、それゆえいっそう艶《えん》にういういしさを増したくらいでありました。
――しかし、表は年の瀬まえのこがらし吹きつのる冷たい夜半《よわ》でした。右門十一番てがらは、かくして冷たい夜半のうちに、めでたくも美しい結果をつげたしだいです。
底本:「右門捕物帖(二)」春陽文庫、春陽堂書店
1982(昭和57)年9月15日新装第1刷発行
入力:tat_suki
校正:はやしだかずこ
1999年12月21日公開
2005年7月1日修正
青空文庫作成ファイル:
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