が、おへそのつくだ煮でも食べすぎたのかい」
すると、伝六が黙ってなにか気味のわるいものでも見るように、向こうのへやのすみをあごでしゃくったものでしたから、なにげなく右門も視線を移すと、少しばかりめんくらいました。そこの薄暗いへやのすみに、豆からはえた子どもではないかと思われるくらいな、珍しいほどにも小造りのちまちまっとした少年僧が、衣のそでをたくしあげて、いかにもこまちゃくれたかっこうをしながら、ちょこなんとこちら向きにすわっていたからです。たいていなことにはおどろかない右門でしたが、それにしてもその豆僧の小さかげんというものは、むしろかわいさを通りこして少しおかしいくらいでしたから、ついいぶかしさのあまり冗談をいって尋ねました。
「ひどくまとまって粒がちっちゃいが、まさかおもちゃじゃあるまいね」
「そう思えるでしょう、だから、あっしもさっきからこうやって、しげしげと見物していたんですよ」
「じゃ、おめえが連れてきたんじゃねえのかい」
「いいえ、連れてきたな、いかにもあっしですがね、それにしたって、どうも少し変わりすぎているから気味悪がっているんですよ」
「何が変わっているんだ、少し
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