右門捕物帖
耳のない浪人
佐々木味津三
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)捕物《とりもの》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)自身|冥土《めいど》まで
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#感嘆符疑問符、1−8−78]
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1
――今回は第十番てがらです。
ところが、少しこの十番てがらが、右門の捕物《とりもの》中でも変わり種のほうで、前回にご紹介いたしました九番てがらの場合のごとく、抜くぞ抜くぞと見せかけてなお抜かなかったむっつり右門が、今度ばかりはほんとうにあの細身の一刀を鞘《さや》走らせて、切れ味一品のわざものにはじめてたっぷり人の生き血を吸わすることとなりましたから、いよいよ右門の捕物秘帳は、ここにいっそうの凄艶《せいえん》みと壮絶みとをそのページの上に加えることとなりました。
事件の勃発《ぼっぱつ》いたしましたのは、前回の遊女事件が終結を告げまして幾日もたたないまもなくのことでしたが、例年のご
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