れじゃ役割がひどうござんすのね。あたしを使って、箱入り娘にでもつけぶみをさせるんでござんすか」
だから、お由はすぐとそう取って、あたしだってもめったにひけを取らないあだ者ですよ、というように、ちょっと目もとをいろめきたたせましたが、しかるに右門がまずあれに一本と命じた相手は、いうがごとくどこかの箱入り娘ででもあろうと思いのほかに、これはまたなんたる意外ぞや、そこに店を張っていたじじむさい天神ひげの八卦見《はっけみ》だったのです。しかも、右門がお由に例の神わざを命じた相手の八卦見は、そこに居合わしたひとりばかりではないので、あちらこちらと捜しながら境内《けいだい》に居合わした全部で七人の八卦見たちに、一本ずつおまじないを施さしておくと、駕籠《かご》を命じてお由をも従えながら飛ぶように駆けつけさせたところは、神田明神の境内でありました。そこで同じように売卜者《ばいぼくしゃ》を見つけて、また三本ばかりふところにおまじないを施させておくと、さらに駆けつけさせたところは問題の深川|八幡《はちまん》で、その境内に居合わしたふたりの風体よろしくない八卦見たちにも同様に目まぜでお由に命じ、例の一本ず
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