右門捕物帖
なぞの八卦見
佐々木味津三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)文月《ふみづき》七月です。

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)名古屋|山三《さんざ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから1字下げ]
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 今回はその第六番てがらです。
 事件の端を発しましたのは、前回のにせ金事件がめでたく大団円となりましてから約半月ほどたってからのことでしたが、半月のちといえばもちろんもう月は変わって、文月《ふみづき》七月です。ご承知のごとく、昔は太陰暦でございますから、現今とはちょうどひと月おくれで、だから七月といえば、まさに炎熱のまっさいちゅうです。それがまたどうしたことか目もあてられない酷暑つづきで、そのときのお奉行所《ぶぎょうしょ》お日誌によると、この年炎暑きびしく、相撲《すもう》取り的にて三人蒸し死んだるものある由、と書かれてありますから、それだけでもどのくらいの暑さだったかが想像がつくことと思いますが、わがむっつり右門とて生身の人間である以上、暑いときはやっぱり人並みに暑いんだ
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