人の者の素姓も、つじ切りの下手人も万事伊豆守様がもうご承知でござりますから、ゆるゆるとお聞きになりましてな、それからなわじりをとっているそこの両名は、ご城下で興行中の江戸の旅役者どもでござりますから、こよいの命を的にした大役をじゅうぶんおねぎらいなされて、ごちそうなとなされましたらよろしゅうござりましょう――では、伝六、宿へかえってまた虚無僧になるかな」
いうと、べつに功を誇る顔もせず、さっさと引き揚げました。けれども、今度ばかりはさすがの右門も事件の重大さにいくぶん興奮していたか、いつになくむっつり屋のお株を忘れて、珍しいほどのおしゃべりになりながら、伝六のきかない先に自分からねた[#「ねた」に傍点]を割りました。
「きさまも驚いたろうが、おれもちっとばかり今度という今度は知恵を絞ったよ。なにしろ、恐れ多い話だが、上さまと伊豆さまを一時になきものにしようとしていたんだからな」
「大きにそうでがしょう。あっしもおおよその見当がつきやしたが、察するにあの七人のやつは、豊臣《とよとみ》の残党じゃごわせんかい」
「さすがにきさまだけのことがあるな。残党じゃねえが、いずれも豊家恩顧の血を引い
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