。手に手にともしたあかりのまばゆい光でよくよく見ると、これは意外! その男こそはだれあろう、あの老人の怪しきさるまわしでした。四日まえの晩からお城下の羽生街道口に陣取って、怪しの別なさるまわしから椎の実をうけとり、かき消すように姿をかくしたあの老人のさるまわしでした。
「それッ、あいつだ! くせ者はあの者だ! めしとれ! めしとれッ」
むろん、下手人はそれにちがいないことがわかりましたので、さっと左右から家臣の者が迫ろうとすると、しかし意外! さらに意外! 老人の曲がった腰はまずしゃっきりと若者のごとくに伸び直り、そして悠揚《ゆうよう》とそこの泉水で面を洗うと、りりしくもくっきりとした美丈夫の姿と変わったのです。と同時でした。たち騒いでいる人々の中から鉄砲玉のように飛んできて、すがりつくようにいった声がありました。
「おっ? おいらのだんなじゃごわせんか! 右門のだんなじゃごわせんか! よくまあ、よくまあ生きていてくれましたね。あっしゃ、てっきりあのつじ切りのやつに殺されたと思いましてね、だから、もう、このとおり、このとおり――ああ、ちくしょう、うれしくて泣けやがるなあ! 泣けやがる
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