りをはたきながら、涼しい声でいいました。
「やっぱり、おれのにらんだとおり、下手人は気のきいた知恵者だよ。警固の者をまんまとやりすごしておいて、そのあとからすぐに裏をかいて押し入るなんてところは、なかなかあっぱれ者だよ」
「なるほどね。どうりで、だんながまたさっきからばかにちゃらちゃらと雪駄《せった》の音をさせると思ってましたが、じゃだんなが、またそやつの裏の裏をかこうとしたんですね」
「そうさ。ああやって、わざと雪駄をちゃらつかせて、いま通ったぞと知らして歩いたら、気のきいた下手人だったら、きっとそのすきに何かしでかすと思ったからな、ちょっとばかり誘いのすきをこしらえてやったのさ。災難に会ったご藩士にはおきのどくだが、おれはまだ一度も手口の現場を見ていないんだからな――どうやら警固の面々も駆けつけたようだから、ではひとつ検分に行くかな」
騒がずにゆうゆうとして、いま声のあった屋敷のほうへ参りましたものでしたから、伝六もすっかり江戸っ子かぜを肩に切りながらあとに従ってまいりますると、案の定、屋敷うちは上を下への混雑で、右往左往とやみの中を、先ほどの警固の者が、下手人いずこと捜しまわっ
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