右門捕物帖
血染めの手形
佐々木味津三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)捕物《とりもの》怪異談

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)前回と同様|捕物《とりもの》怪異談

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、底本のページと行数)
(例)おしばや[#「おしばや」に傍点]
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     1

 ――今回は第三番てがらです。
 しかし、今回の三番てがらは、前回と同様|捕物《とりもの》怪異談は怪異談でございますが、少々ばかり方角が変わりまして、場所はおひざもとの江戸でなく、武州|忍《おし》のご城下に移ります。江戸|八丁堀《はっちょうぼり》の同心が不意になわ張りを離れて、方面違いも方面違いの武州くんだりまでも飛び移るんですから、なかにはさだめし不審に思われるおかたもございましょうが、不審に思った者はなにもあなたがたばかりではなく、本人のむっつり右門もまた同様で、あの生首事件――前回に詳しくご紹介いたしましたあの生首事件がかたづいてちょうど八日めのお昼すぎでした。いいこころもちで右門がお組屋敷の日当たりの
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