右門捕物帖 生首の進物
佐々木味津三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)戦慄《せんりつ》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)大|捕物《とりもの》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)でか物[#「でか物」に傍点]の事件が起きたな

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    1

 ――むっつり右門第二番てがらです。
 前回の南蛮幽霊騒動において、事のあらましをお話ししましたとおり、天下無類の黙り虫の変わり者にかかわらず、おどろくべき才腕を現わして、一世を驚倒させたあの戦慄《せんりつ》すべき切支丹《きりしたん》宗徒の大陰謀を、またたくうちにあばきあげ、真に疾風迅雷《しっぷうじんらい》の早さをもって一味徒党を一網打尽にめしとり、八丁堀お組屋敷の同僚たちを胸のすくほど唖然《あぜん》たらしめて、われわれ右門ひいきの者のために万丈の気を吐いてくれたことはすでに前節で物語ったとおりでありますが、しかし人盛んなれば必ずねたみあり――。世のこと人のことは、とかく円満にばかりはいかないものとみえます。あの大|捕物《とりもの》とともにわれわれのひいき
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