玉を使った摎Rは、さも幽霊のしわざででもあるかのように見せかけて、少しでもその犯行への見込みを誤らしめようという計画からでした。三百両紛失事件は、これももちろん軍資金調達の一方法で、一味があげられたと同時に例の駒《こま》の持ち主はまもなく判明いたしましたが、右門のにらんだごとく三段の免許持ちで、天草から江戸へ潜入以来、賭《か》け将棋専門で五十両百両といったような大金を軍資金としてかせぎためていた伴天連の催眠術者でした。それが、あの日たまたま湯島の富くじ開帳へ行き合わせて、金星を打ち当てた町人をちょっと眠らしたというようなわけでしたが、とにかく右門のすばらしい功名に、同僚たちはすっかり鼻毛を抜かれた形でした。けれども、おなじみのおしゃべり伝六だけには、一つふにおちない点がありました。ほかでもなく、それは柳原からの報告をもたらしたとき、すぐに右門が玉乗りへやって行ったあの事実です。
で、伝六は口をとんがらかしながらききました。
「それにしても、いきなり玉乗りへ行ったのは、まさかだんなも伴天連の魔法を知ってるわけじゃありますまいね」
すると右門は即座に自分の耳を指さしたものでしたから、伝
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