右門捕物帖 南蛮幽霊
佐々木味津三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)切支丹《きりしたん》騒動
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)知恵|伊豆《いず》の出馬によって
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)早くねた[#「ねた」に傍点]があがるかもしれんぞ!
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切支丹《きりしたん》騒動として有名なあの島原の乱――肥前の天草で天草四郎たち天主教徒の一味が起こした騒動ですから一名天草の乱ともいいますが、その島原の乱は騒動の性質が普通のとは違っていたので、起きるから終わるまで当時幕府の要路にあった者は大いに頭を悩ました騒動でした。ことに懸念したのは豊臣《とよとみ》の残党で、それを口火に徳川へ恨みを持っている豊家ゆかりの大名たちが、いちどきに謀叛《むほん》を起こしはしないだろうかという不安から奥州は仙台《せんだい》の伊達《だて》一家、中国は長州の毛利一族、九州は薩摩《さつま》の島津一家、というような太閤《たいこう》恩顧の大々名のところへはこっそりと江戸から隠密《おんみつ》を放って、それとなく城内
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