ちに、朝夕少なくとも二回は、おちついて内省する時間を持たせたい、と、まあ、そんなような軽い気持ちで、静坐をやらしているわけなんです。ですから、べつにそう変わった方法はとっていません。ただ、静坐のあとで、――あとでと申しましても、静坐の姿勢をそのままつづけながらなんですが、――ほんの五六分、なるだけ心にしみるような例話や古人の言葉などをひいて、話をすることにしているのですが。」
「なるほど。」
 と、荒田老はめずらしくうなずいた。そしてちょっと考えるようなふうだったが、
「それはいい。心をすましたあとにきく短い話というものは、あとまで残るものです。だが、それだけに、その話の種類|次第《しだい》では、その害も大きい。これまでどんな話をして来られたかな。」
「やはり心の問題にふれた話がいいと思いまして――」
「それはわかりきったことです。だが、その心の問題というのが、このごろでは、どうもじめじめしたことになりがちでしてな。」
 次郎は、きいていて歯がゆかった。――朝倉先生は、これではまるで荒田老に口頭試問《こうとうしもん》でもうけているようなものではないか。屈従《くつじゅう》は謙遜《けんそん
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