話をきいてもほとんど笑わなかったし、森川の「教員適性審査採点表」を見た時には、むしろにがい顔をして、ひとりで校庭にぬけ出したほどだった。ふだんから、彼はそう出しゃばる方ではなかったが、それでも、校友会の委員会などでは、新賀や梅本と共にかなり意見を発表する方だった。それが昨日以来、まったく沈默を守りつづけている。きょうはことに新賀や梅本に対してもあまり口をきかない。今朝あたりまでは、誰もそれを気にとめなかったのだが、みんなが笑うときに笑いもせず、また先生たちの品定めや、事件のこれからの成行きについて、みんなが非常な関心をもって話しあっているのに、自分ひとりで校庭をぶらつきまわったりしている彼の様子が、いつまでも周囲の注意をひかないでいるはずがなかった。しかも彼が、同級生の大部分がまだ朝倉先生の顔も知らない一二年の頃から、室崎事件や宝鏡先生事件を通じて先生から大きな感化をうけ、その後、白鳥会の一員にも加わって、先生の心酔者の中でもその第一人者になっていることは、誰でも知っていることである。こんな時こそ彼はみんなの先頭に立って活動すべきではないか。そうした考えが、一般の生徒たちの頭に浮んで来
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